グリーンエクササイズとは?
心理学の用語で、「自然の中で行う運動」のことをグリーンエクササイズといいます。
例えば、公園など緑のあるところでジョギングやヨガをしたりすることですね。
短時間のエクササイズでも、ストレスの軽減やリフレッシュ効果などの、ポジティブな効果が期待できます。
グリーンエクササイズの効果
グリーンエクササイズとメンタルの関係を調査した、エセックス大学のメタ分析があります。
1252人を対象とした10件の研究を解析した結果、以下のことがわかりました。
- 5分のグリーンエクササイズだけでも気持ちが前向きになり、自尊心が高まる
- 水のある環境で行うことで効果⬆︎
他にも仁済大学校の研究があります。
うつ病の治療を受けている中年を対象に、4週間自然環境で散歩をしました。その結果、HRSDやMADRSといった、うつの状態を評価する指標が優位に低下したそうです。つまり、メンタルが改善したということ。また、この患者たちの61%は寛解状態にまでなったそうです。
スタンフォード大学の研究では、自然環境で50分歩いた結果、認知能力の向上や不安感の減少を認めたと報告しています。
また、他にも以下の様な報告があります。
- 緑の多い公園や川沿いの小道を30分歩いたことで、認知機能の向上や気分の改善を認めた★
- 自殺リスクの高い患者が山でハイキングを行った結果、自殺念慮や絶望感が緩和した★
- 森林公園で4日間、旧石器時代に近い暮らしをした結果・体重・体脂肪率・インスリン抵抗性が改善した★
このように自然環境で身体を動かすグリーンエクササイズには多くのメリットが秘められています。
自然の効果
そもそも自然環境は人の身体にとっていいものです。
自然と健康に関する、ダービー大学の研究があります。
その結果、自然環境の副交感神経に対する効果量が0.71ということがわかりました。副交感神経はリラックスする際に活性化し、疲れをいやしたりする働きがあります。また、効果量は0.5以上だと「効果大」と判断することができます。つまり、自然環境によるリラックス効果は絶大だった、と言い換えることができそうです。
また、自然の効果を示した研究は多くみられており、以下にまとめてみます。
- 都市的な環境にいるよりも自然に囲まれている方が幸福感⬆︎★
- 都市の中にある緑(街路樹や公園など)でも自然の効果を得られる★
- 自然の写真を5分間見るだけで心拍数が低下した★
- 観葉植物の前で作業した結果、幸福感が47%向上し、作業効率が37%低下した。★
- 週に1回30分自然環境で過ごした人はうつ病のリスクが37%低下した★
- 観葉植物の近くで働いている人は肌荒れが減っていた★
- 植物多い環境で過ごすことで、内省することができるようになる★
大半の人は屋内で過ごすことが多く「自然欠乏症」と言われています。少しでも自然環境に身を置く時間を作れると良いですね。
なぜ自然が体に良いのか?
自然環境の中には「フィトンチッド」という物質が溢れかえっています。フィトンチッドは植物が発する揮発性物質で免疫力向上・ストレス軽減などの効果を有しています★★
自然環境には「プロスペクト」という効果があるそうです。プロスペクトとは自然の美しさや雄大な景色を見ることでもたらされる、希望などのポジティブな感情のことです。
自然に囲まれているとき、人の脳は「ソフト・ファシネーション」という状態になります。言語や記憶に関わる脳の機能が非活性化し、感覚に関する機能が活性化します。
これらの理由があって自然が我々に有益な効果をもたらすようです。
そもそも、人間は自然を望んでいる生き物だと考えられているようです。自然への欲求のことを「バイオフィリア」と言いますが、生物学者のエドワード・オズボーン氏によると、バイオフィリアは人間の生来の本能だとしています。
グリーンエクササイズをしてみよう。
運動習慣のある人は、たまには近くの公園や街路樹などの自然環境でエクササイズしてみてはいかがでしょうか?普段の運動の効果がさらに高まるかもしれません。
運動習慣のない人は、週末は近くの公園を散歩したりすることから始めてみると良いと思います。穏やかな気持ちになり、日々のストレスを忘れられるかもしれないですよ。
自然の力は偉大です。