肥満は心血管の病気や糖尿病など病気のリスクを高めてしまいます。そんな肥満の解消に重要なのは「食生活」ですが、「運動不足」にも目を向ける必要があります。そこで、肥満のひとにおすすめとなりそうな運動がありましたのでご紹介します。それは「HIIT」です。HIITとは短時間で行えるにも関わらず、様々な健康効果をもたらす時間効率のいい運動方法です。今回、肥満の人を対象にした論文を3つほど読んでみたので、その内容をお伝えしようと思います。
香港大学の研究(2020)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32497454/#affiliation-1
中年の肥満男性を対象にしたRCTです。参加者は平均年齢が約48歳でBMIは35.8kg/m2(標準範囲:18.5〜25.0)とかなりの肥満体型となっていました。HIITと有酸素運動の2グループに分けられ、それぞれの運動を8週間行われました。その結果は以下の通りです。
- 両グループともに心肺機能の向上・体脂肪率の減少を認めた。
- 有酸素運動の方が体重は減少し、ウエストが細くなった。
- どちらも「運動に対する楽しさ」は高水準を示した。
グアナフアト大学の研究(2017)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5746008/
研究デザインはRCTです。活動性の低い過体重・肥満の女性がHIIT、有酸素運動の2グループに分けられました。HIITを行なったグループにのみ骨格筋から放出される「イリシン」というタンパク質が増加しました。イリシンは全身のエネルギー消費量を増加させ、体重減少に貢献することが期待されています。
マカオ大学の研究(2016)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4930190/
18〜30歳の肥満女性を対象にしたRCTで、参加者の体脂肪率は30%を超えています。HIITを実施したグループは心肺機能は9.1%向上し、有酸素運動よりも運動の楽しさを実感したようです(PAES使用)。
まとめ
HIITは肥満の人に対して心肺機能の改善など様々な健康上のメリットを有するようです。面白いと思ったのが、マカオ大学の研究においてHIITの方が有酸素運動よりも楽しいと示唆されたことです。HIITは全力で動かなくてはいけないのでキツくてしんどいと感じる人の方が多いと思ったんですがそうではないみたいですね。運動の好みは人それぞれだと思いますが、HIITをやったことがない人は試してみるのもいいかもしれませんね。