コロナの影響で運動不足の人が増えていると思います。また在宅ワークの促進に伴い、デスクワークが主になっている人は多いんじゃないでしょうか?本記事では「座りっぱなし」がもたらす影響について説明したいと思います。
座位行動とは?
座位行動とは座った状態、1.0〜1.5METsの活動のことをいいます。
METs:安静座位を基準とした消費するエネルギーの単位のこと。「歩く」は3METs、「階段を昇る」は4METsになるので、それぞれ座っている状態より3倍、4倍のエネルギーを消費していることになります。
身体活動量が減ると
厚生労働省は普段の運動や日常生活を含め積極的に体を動かすことを推奨しています。座位行動が増えるということは身体活動量が減ってしまうということです。
身体活動量の低い人は死亡リスクup、病気のリスクup、肥満になりやすい、メンタルが不安定になるなど、健康上のデメリットがあります。
Pedro F. Saint‐Maurice(2018)らの研究によると、1日における中等度の活動量(歩きと同程度の負荷)が多い人は少ない人に比べ死亡率が75%低下していると報告しています。また別の研究では、1日15分の運動をすることで死亡リスクが14%減少し、寿命が3年延びたそうです。
座位行動はなぜ良くないのか?
座っている状態がなぜいけないのか?それは筋肉を使わない状態だからです。立ったり歩いたりしている時は姿勢を保持する筋肉や脚の筋肉が活動している状態です。しかし座っている状態ではほとんど筋肉が働いていない状態といえます。
筋肉が活動しないことで、LPLというタンパク質の働きが弱くなります。LPLには脂肪の減少、血糖値の改善、肥満の予防などの効果が期待できますが、座っている状態ではこのLPLの効果がみられません。
座位時間が長いほど、血糖値が悪くなる、肥満になる、死亡率が高まることが報告されています。約20万人を対象とした研究があります。1日の大半を座って過ごしている人は、最も座位時間が少ない人に比べ、全死亡率が54%高く、心血管病による死亡リスクも54%高かったそうです。また、James A Levine(2005)らの研究では、痩せている人は太っている人に比べ、1日あたり2時間も座っている時間が短く、350kcalも多く身体活動でカロリーを消費していました。
アクティブ・カウチ・ポテトとは?
カウチ・ポテト(couch potato)という言葉をご存知でしょうか?ソファに座ってポテチを頬張りながらTVをみる、そんな風に過ごす人のことです。アクティブ・カウチ・ポテトとは1日の活動量は高くても、座位時間を長く過ごす人のことです。
オーストラリアの4064人を対象にした研究があります。対象者は全員、ガイドラインの推奨する身体活動量を満たしていました。しかし、活動的であるにも関わらず、TVを視ている時間が長い人ほど、ウエスト幅は大きく、血圧・血糖値は不良であり、脂質が増加している結果となっていました。
どれだけ身体を動かしているか、ということも大事ですが、それとは関係なく座る時間を減らすということも大事になってきますね。
途中で立ち上がるだけでも効果あり
座っている時間を中断して、途中で立ち上がるだけでも効果はあるようです。
Genevieve N Healy(2008)らの研究を紹介します。この研究によると、座っている合計時間とは無関係に、座位時間を中断してる時間が長い人ほど、ウエスト幅が短かく、BMIは低値であり、食後の血糖値がよかったそうです。
WHOは座りっぱなしで過ごす時間を減らすことを推奨しています。米国糖尿病学会も30分おきに軽い運動をすることを勧めています。平均寿命の長い市区町村である野々市市では「STAND UP 301」という、30分に1回立ち上がる活動に取り組んでいます。
まとめ
座ったままというのは非常に健康的には良くないことです。定期的に立ち上がるだけでも効果は確認されています。コロナ禍の今こそ、少しでも身体を動かすことが重要になりそうですね。