肥満のデメリット
肥満のデメリット、それは内臓脂肪により慢性炎症を引き起こすことです。慢性炎症とはいわば細胞レベルの火事であり、じわじわと身体を痛ぶっていきます。具体的には
- 代謝能の悪化
- 免疫力の低下
- うつ病
- がん
- 血圧の上昇
など様々な身体の不調をもたらします。
ダイエットには運動が必要
ダイエットをする際、食事管理はもちろん必要ですが、運動を組み合わせることも重要になってきます。なぜなら運動にはリバウンドを予防する効果があるから★。カロリー制限により減量をした際には、筋肉量も一緒に低下します。その後、ヒトの身体は失われた筋肉量が回復するまで体脂肪を蓄えようとしてしまうのです★。つまり、リバウンドを予防するには筋肉量を維持する必要があるので、その為に筋トレなどの運動が必要になってきます。
また運動には食欲を調整する働きがあり、こちらもダイエットに運動が必要な理由の一つです。食欲促進するホルモンのグレリン、食欲を抑制するホルモンに消化管ホルモンがありますがこれらは運動によって分泌量が調整されます★。身体を動かすことにより食欲のリズムが整う★ことも分かっており、過食の原因である間食も予防できるかもしれません。
運動が嫌いな人はNEATを高める
運動が嫌いな人や苦手な人はまずNEATを高めることから実践することをオススメです。NEAT(Non-Exersice Activity Thermogenesis)とは「非運動性熱産生」のことで、簡単にいうと運動ではなく日常生活で消費するカロリーのこと。NEATを高めるには
- 日常生活でなるべくエレベーターよりも階段をなるべく使う
- 1日における座っている時間を減らす
- 通勤電車は最寄りの一駅手前で降車し、一駅分歩いてみる
- 駐車場は店から遠いところに置く
など、日常生活にちょっとした工夫を加えるだけなので、運動が苦手な人でも取り組みやすいかと思います。
肥満の人は活動性が低く、NEATが低い傾向にあるようです。ある研究によると、肥満の人は痩せている人に比べ、1日の座っている時間が164分も長く、その消費カロリーの差は約350kcalにもなったそうです。350kcalは大体チョコレートケーキ一個分であり、毎日これだけの消費カロリーに差が生じていることになります。歩くなどちょっとしたことでもLPLの発現が促されることが分かっています★。LPLは筋肉や脂肪細胞で作られ、脂肪の貯蔵を妨げる働きがあります。
マドリード工科大学の研究(2015)では、肥満の人を対象にカロリー制限に併せ、「なるべく階段を使う」などNEATを高めるように指導を行いました。その結果、22週間後には体重は8.69kg減少し、体脂肪率は4.89%低下しました。他のグループは筋トレや有酸素運動を行いましたが、これらのグループと同じレベルの減量効果だったそうです。
活動的な人のNEATは1日の消費カロリーの半分にもなることも分かっています★。運動が苦手な人でも取り組みやすい方法ですが、その効果は大きく期待できるものです。
HIITでやせる
HIIT(High Intensity Intreval Training)とは「高強度インターバルトレーニング」のことで、強度の高い運動と短時間の休憩を繰り返す運動方法です。このHIITですが時間効率の良い運動★★として知られており、ダイエットにも効果的です。
クレルモンオーベルニュ大学のメタ分析(2018)によると、HIITは総脂肪量・内臓脂肪量・腹部の皮下脂肪量を減少させることが分かっており、特に内臓脂肪はカロリー制限だけでは改善が難しいので嬉しい話です。また、ニューサウスウェールズ大学の研究(2008)では、有酸素運動よりもHIITの方が脂肪燃焼効果が大きかったと報告しています。さらに、セントルイス大学(2003)の研究では、糖尿病患者に対してですが、8週間のHIITにより、なんと腹部の体脂肪率が44%も減少したという結果が見られています。
HIITにはアフターバーン効果★や食欲抑制効果★★もあるので、そういった点からもダイエットに効果的だということが分かります。
アフターバーン効果 トレーニング後もカロリーの消費が続く状態のこと。その際のエネルギー源は優先的に脂肪が使われる。トレーニング後24時間も効果が持続する場合もある。有酸素運動よりもHIITの方がアフターバーン効果は高いといった報告も★。別名「EPOC効果」。
ナッツは優秀なダイエット食品
ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア大学の研究(2016)によると、ウォールナッツ・アーモンドなどのナッツ類と地中海食の組み合わせが、肥満の人において体重減少やウエストの改善に効果的であると結論付けています。また、ハーバード大学の研究(2011)でも、アメリカ人の男女の体重を4年間追跡した結果、最も体重が減った食品はナッツであったということが分かりました。このように、ナッツは優秀なダイエット食品となっているのです。
ナッツはカロリーの多い食品なのになぜ太らないのか?それは含まれている成分に秘密があるようです。例えば不飽和脂肪酸は食欲を抑制し、過剰な栄養補給も予防します。また、食物繊維は第6の栄養素とも呼ばれており、咀嚼回数や腹持ちの良さから空腹感の軽減・過剰な栄養吸収を抑制してくれます。さらに、植物性タンパク質・オレイン酸により熱酸性が促進されるので、食べることで消費エネルギーの増加につながります。このように、ナッツは様々なメカニズムでダイエット効果を示してくれます。
おやつをナッツに変えただけで痩せたという報告もあるそうです。もちろん、ナッツも過剰な摂取は控えた方がいいですが、ダイエットの味方になってくれることは間違いないと思います。
地中海食は痩せる
地中海食とはイタリアやスペインなどの沿岸諸国で伝統的な食事で、以下のような特徴があります。
- 果物や野菜を多く使う
- 肉よりも魚を使用する
- オリーブオイル・ナッツ・全粒粉などの末精製の穀物を用いる
- 食事と一緒にワインを飲む
この地中海食ですが、ダイエット効果が期待できることも知られています。Christian K Robertsらの報告(2008)によると、地中海食は低脂肪食よりも体重減少効果が大きく、低炭水化物食と同等のダイエット効果を示しました。さらにこの報告では、地中海食が脂質・血糖値もバランスよく改善したという結果も見られています。
地中海食は認知症予防★やテロメアの延長★などアンチエイジング効果も有しています。健康的にダイエットを行うために地中海食を試してみるといいでしょう。
睡眠不足だと痩せない
日本人の大半は睡眠不足だと言われていますが、睡眠不足だとダイエットの成功は難しいかもしれません。それは睡眠不足になると、食欲が増え、摂取エネルギーが増加してしまうからです。スタンフォード大学の研究(2004)によると、睡眠時間が短いほど食欲促進ホルモンが増加し、食欲抑制ホルモンが低下するといった結果がみられたそう。また、上海交通大学のメタ分析(2020)でも同様の結果が確認されています。このように睡眠不足は食欲を調整するホルモンを介し食欲を増加させてしまうようです。
そして上海交通大学のメタ分析(2019)では睡眠不足の人は通常の睡眠量の人に比べて1日あたり252.8kcalも過剰に摂取していることが明らかになりました。睡眠不足の人はお菓子など、太りやすい食事を食べやすいことも分かっています★。睡眠不足を解消することで食事が改善し、ダイエットに成功することが期待できます。
また、ダイエットには多くの誘惑に打ち勝つための「意思力」が必要です。例えば、感触への誘惑、飲み会への誘い、重い腰を持ち上げての運動など。しかし、睡眠不足だと前頭皮質の機能が低下し意思力も損なわれることが分かっています★。誘惑に抗う意思力をマネジメントする意味でもよく眠ることは重要です。
ジュースはダイエットの天敵
ジュースは非常に太りやすい飲料であり、ダイエットをするならまず避けるべき飲み物だと言えます。ジュースに含まれるフルクトースはドーパミンを分泌させ砂糖中毒の原因に。過剰な糖質摂取により太りやすくなるだけでなく、糖尿病など様々な健康被害も生じてしまいます。
実際に、ハーバード大学の系統的レビュー(2006)によると、砂糖入り飲料の摂取が肥満のリスクを高めることが分かっています。また同大学のメタ分析(2013)でもコップ一杯の砂糖入り飲料が肥満の指標を高めることを報告しています。
逆にジュースの摂取をやめることで肥満は改善します★★。その際には水やコーヒーに置き換えるといいでしょう★。飲み物を変えるだけでもダイエットは可能です。